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参加するには

『祖父と父が大切にしてきた
養蜂園を守るための
新製品開発』

かみしほろの人紹介

有限会社 
十勝養蜂園 斎藤達也

ミツバチの飼育から瓶詰作業まで自分たちで行う養蜂園。
国産純粋のはちみつにこだわり、花の咲く時期に合わせてミツバチとともに全国を走る。
通常の基準よりも高い糖度にするため、はちみつを巣箱の中で長く寝かせるのもこだわりの一つ。

十勝養蜂園 斎藤さんの写真

料理人修行から、
興味のなかった
実家の養蜂業へ

斎藤さん 今、祖父の代から続く養蜂業の会社で働いています。もともとは料理人になりたくて、専門学校を卒業後、ホテルのレストランで修行をしていました。 働きはじめて1年ほどたったときに、父から「人手が足りないから帰ってきて家業をつぐように」と言われました。

当時は養蜂には興味がなかったですし、料理人としてもっと成長したいという思いがあったので、
親と大げんかしました。 しかし、「レストラン部門をやってよい」という条件で妥協して、渋々地元の上士幌に戻ることに。
レストランを任せてもらえるのは、すごく楽しかったです 地元のことは大好きだったので、食を通じて上士幌の良さをたくさんの人に知ってもらえたことはとても誇らしい気持ちでした。

斎藤さん でも、料理をしていると、だんだんと食材も気になってくるんですよね。蜂蜜を料理に使ってみると、砂糖では出せない甘さが出せますし、肉も柔らかくなります。父の仕事のことは大まかには知っているつもりでしたが、これまできちんと学んだことはありませんでした。 ちゃんと食材のことを知ろうと思い、父に教えてもらいながら、少しずつ養蜂をはじめました。

レストランで料理が提供される様子

料理人と養蜂業に通ずる大切なこと〜
相手のことをよく見て、相手が喜ぶことを

斎藤さん 札幌のフレンチレストランで修行していたとき、師匠から「お客さんが何を思っているのかきちんと見ろ」と何度も何度も指導されました。 料理をお客さんに喜んでもらうには、お客さんの気持ちを理解すること。それができて「美味しかった」といってもらえるのは、何よりも嬉しいことです。 初めてお客さんに出した料理を美味しいと言ってもらったことは今でも忘れられません。

ところが、どんなに見てもミツバチの気持ちはわからないんですね。もしかしたら父は分かるかもしれないですが、僕はまだまだ(笑)。

でも、蜂蜜が蜜を集めやすいように養蜂家が手助けすることで、蜂蜜は美味しくなります。先回りして、工夫して、相手が喜ぶことをしたら、 よい蜂蜜が取れる。これは、料理の師匠が教えてくれたことと同じだなと思っています。

ハチミツが溢れる蜂の巣

国産100%の
濃厚な蜂蜜を、
食べていただきやすい
価格で

斎藤さん うちの蜂蜜は、国産100%です。しかも、普通の蜂蜜よりも濃度が高くて甘いんです。
蜂蜜はミツバチがとってきたばかりのときは、かなり水っぽいのですが、巣箱の中でミツバチが羽を動かして熱を出すことでどんどん濃縮されていきます。 うちは一般的な蜂蜜よりも長く巣箱で寝かせて濃い蜂蜜を作っています。

もう一つこだわっているのは価格。
父は「昔から買ってくださっているお客さんにこれからもずっと食べてほしい」という願いから、値上げをせずに国産の蜂蜜の中ではお求めやすい価格帯で販売を続けています。

斎藤さん 若い頃はわかりませんでしたが、社会人になってから、「父はいつも他人のために仕事をしているんじゃないか」と気づきました。
自社販売できない小さな規模の養蜂家さんからは、できるだけ高く蜂蜜を買い取って買取相場が維持されるようにしていたり、巣箱が落ちそうになったら体を呈して守ったり。 いつもハチを一匹も殺すなと言っています。
他よりも手間のかかる作り方をしているのに、値上げをしたくないというこだわりもあります。 お客さん、同業者、一緒に働く仲間、ミツバチ。関わる全てを大切にしています。一緒に働くようになって、僕も父のそのような気持ちを引き継いでいきたいと思うようになりました。

養蜂の様子

祖父や父の思いを
受け継いでいくための、
新しいチャレンジ

斎藤さん でも、外国産の安い蜂蜜もたくさん入ってきている状況で、経営も厳しくなってきています。 やはり、周りの人を大切にできるだけの余裕をつくるには、経営の安定が必要だと思います。

次第に「このまま今まで通りのことをしていて、祖父や父が守りたかったものって守れるのかな?」と考えるようになりました。 僕にはまだ経営の経験も養蜂の経験も足りないのですが、このプロジェクトで町の外の皆さんのお力を借りて、自分が守りたいと思う伝統を守れる人間になりたいと思っています。

養蜂の様子

経営環境が
変化する中で、
守っていきたいもの

斎藤さん 養蜂は過酷な仕事です。花の季節にあわせて、トラックに巣箱を載せて、全国各地を飛び回ります。
トラックを止めると巣箱に風が入らなくてハチが自分たちで出す熱で死んでしまうので、移動中は休憩もあまりできません。 うちは、岐阜や三重まで行くのですが、その間何ヶ月も地元を離れなければなりません。しかし、そのわりに、儲からなくて同業者がどんどん廃業しています。
昔は十勝にたくさんの養蜂家がいましたが、今はうちを含めて2社のみ。このままでは十勝から養蜂家がいなくなってしまうのではないかという危機感があります。

でも、祖父も父も守ってきた蜂蜜づくりのやり方は大きく変えようとは思いません。 そして、うちの会社がずっとお世話になってきたお客さんに国産のおいしい蜂蜜をできるだけお手頃な価格で届けるということも変えたくありません。 また、たくさん売れすぎると欠品がでてしまうので、販売量を増やすことも目指していません。

蜂の巣箱を確認する様子

伝統を受け継いでいくために、蜂蜜以外の
経営の柱を作る

斎藤さん もちろん効率化していくことも必要だと思いますが、祖父の代から今までこだわってきたこと、うちを支えてくれた人とのご縁を守り続けることが何よりも大切だと思います。 それを守るためには、蜂蜜以外にも収益の柱を作らないといけないと思っています。
だから、これまでお付き合いがあったお客さん以外にも買ってもらえる新しい商品を作りたいと考えています。

蜂蜜は基本的に腐らないので長期保存ができるのですが、取れ高は天候にも左右されるので、もし2年間不作が続くと会社の存続すらも危なくなってきます。 伝統を残すためには、養蜂家の生活が豊かになって、さらに安定した経営をしていくことが必要だと思っています。

瓶詰めされた十勝養蜂場のハチミツ

蜂蜜を使った
新商品を開発し、
多くの方に届ける

斎藤さん 1つは蜜蝋です。
ミツバチは巣を作るのに蝋を分泌します。保湿効果があるので、ハンドクリームやリップクリームの原料にもなります。 うちのミツバチも蜂蜜を作るときに一緒にたくさんの蜜蝋を作ってくれます。もちろん、蜂蜜と同じく国産100%です。 これを化粧品や加工品などにして売りたいと思っています。
うちには、コスメのノウハウがないので、女性の視点でブランドを作って製造できるような指導をしてくださる方にお願いしたいと思っています。

斎藤さん もう一つは加工食品です。
蜂蜜そのものは増やせないので、他の原材料と混ぜて蜂蜜の味を活かした加工食品を開発したいと思っています。
自社ブランドで製造したいので、蜂蜜の美味しさが伝わるものを作りたいです。
まずは、会社のキッチンで作れる範囲のものを作って、自社の販売所や町内のお土産物を扱うお店で観光客の方に買っていただけるようなものを作れればと思っています。

この他にも、蜂蜜やハチを使った新商品のアイディアをいただければ、ご一緒にチャレンジしたいと思っています。

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